« 2014年1月 | トップページ | 2014年8月 »

2014年2月の2件の記事

2014年2月18日 (火)

第106回桂冠塾 『復活』(トルストイ)※前半

106 2月15日(土)に2月度の桂冠塾(読書会)を開催しました。
今月と来月の2回でトルストイ作『復活』を取り上げます。

■作品のあらすじ(前半)

主人公のドミートリイ・イワーノヴィチ・ネフリュードフ公爵は陪審員として参加した裁判で殺人罪で起訴されたカチューシャに再会し衝撃を受けます。
彼女は若き日のドミートリイ欲望の対象とされて、妊娠。それを境に身を持ち崩したカチューシャは売春婦となり、遂には殺人事件の容疑者になっていました。
そしてその裁判で、殺人容疑がないと思われていたにもかかわらず、不注意や不手際が重なってカチューシャは有罪判決を受けてしまいます。

ドミートリイは過去の行いを悔い、彼女を救うことを決意し奔走し始めます。
カチューシャと面会する中で、刑務所に収容されている人々を取り巻く様々な矛盾、冤罪の実態を目の当たりにし服役者から救済の嘆願を受けるドミートリイ。

その一つひとつに誠実に向き合う中で、ドミートリイにとって人生をかけて取り組むべき3つのテーマが掲げられます。
・土地を百姓達に与えること
・カチューシャを助けて自らの罪を償うこと
・裁判と刑罰について何らかの結果を出すこと
これらの真実を求めて、ドミートリイは自らの行動を起こします。

このあたりまでが作品前半のあらすじになります。

■作品のモチーフと若き日のトルストイ

新潮文庫版の訳者でもある木村浩氏は、作品の解説として『復活』の創作過程を綴っています。この作品のモチーフはトルストイの友人の検事が見聞したエピソードが元になっているとのこと。

両親を亡くした娘ロザーリヤが裕福な婦人姉妹に引き取られて暮らしていたところに、親戚の大学生が遊びに来て誘惑されて妊娠して出産すると、家から追い出されて娼婦に堕した。その後ロザーリヤが窃盗の罪で裁判が行われるがそこに彼女の堕落のきっかけを作った青年がいた。彼はロザーリヤとの結婚を望むがロザーリヤは固辞する。その最中に彼女は発疹チフスで亡くなってしまった...

このようなエピソードにトルストイは強烈な関心を持ったと書かれています。『復活』におけるメインストーリーはまったくこの通りといってよいでしょう。
よく知られていることですが、若き日のトルストイは必ずしも聖人君子ではなかった。それはトルストイ個人に由来するとは言い切れない要素があるため、そこのことをもってトルストイの人間性を批判することはあってはならないと思いますが、事実として女性蔑視の時期があった。

それはロシアという文化風土の成せる罪であったとも言えるでしょう。
農奴制が形こそ廃止されてはいたものの、その国土と国民、なかんずく貴族階級の者達には、庶民階級の人々を私物化し、その犠牲の上に豊かな生活を送るという生活習慣には大きな変化がなかったとみるべきだと思います。
そんな時代に青年時代を送った若き日のトルストイが、特に深い考えもなく、領民の女性達を自らの性の対象とした。
そんな自らの悔恨が、ロザーリヤを犯した大学生に重なってドミートリイが生まれた。その意味でも、ドミートリイの言動には、トルストイ自身が投影されているとみてよいと感じます。

その思いがこの作品のもう一つのストーリーとして展開されます。
ドミートリイとカチューシャの愛情物語といういわば表のストーリーに加えて、トルストイはこの作品を通して後半生で持ち続けてきた人生のテーマに迫ろうとします。

この展開については3月の桂冠塾で語り合ってみたいと思います。

【当日の開催内容等はこちら】
http://www.prosecute.jp/keikan/106.htm

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月 3日 (月)

何のための選挙なのか

大阪市長の橋下氏が市長の辞職と出直し市長選への出馬を正式表明した。
いったい何のつもりでいるのだろうか。

大阪都構想の民意を問うという。
しかし民意というのであれば橋下氏が市長に選ばれた時点で民意は示されている。
民意を受けて選ばれているのは橋下氏だけではない。
意見が対立している市議会議員も民意によって選ばれている。

議会との話し合いや折衝を経ても自分の考えが実現できないからということでその度ごとに出直し選挙をしていては、何のための任期なのか何のための議会なのか、わからなくなる。
それが正当な市長辞任の理由だというなら、日本全国あちこちで一年中、出直し選挙だらけになってしまう。

6億円という選挙費用も看過できないコストだ。

自分の意見が通らないから選挙。
そんな考えでいる人に、自治体の長たる資格はないのではないだろうか。
それでなくても地方自治体における首長の権限は絶大だ。
実質的に地方自治体に三権分立は存在しない。
なによりも政治に関わる者という以前に、人として、意見の異なる人とも対話を続けることが求められている。
どこまでも議会の中で、市長として堂々と主張し、一人一人を納得させるために、どこまでも根気強く一対一で対話を続けていくべきだ。

私はそんなふうに感じている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年1月 | トップページ | 2014年8月 »