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2010年8月20日 (金)

ロマ人送還報道に平和の意識を目覚めさせよ

今月19日、フランス政府が国内に不法滞在していたロマ人93人をルーマニアに送還したことが報じられている。

「ロマ人」という呼称は日本人には馴染みがない。
日本では「ジプシー」と言われることが多いが、その呼称には差別意識が含まれているとして使用しないのが世界的潮流となっている。ロマ人自身が開催した1971年の第1回ロマ民族世界会議で「ロマ」を民族の自称と決定しているという経緯がある。
「ロマ」とは彼らの言語で「人間」を意味する「ロム」の複数形である。
西暦1000年頃にインドに住んでいた民族が移動生活を始めたのが起源といわれているが確たる検証はなされていない。その後14世紀から19世紀にかけて現在のルーマニアの地域で奴隷として非人間的扱いを受け続けるなど14世紀頃には民族間の迫害を受けていた歴史が残っており、現在に至るまで少数民族の衰亡の歴史を刻み続けている。

様々な文学作品にも「ジプシー」の呼称で登場するロマ人。
様々な楽器演奏をしたり、動物を操って見世物小屋を開いたり魔術を使った見世物でお金を取ったり...。怪しげな雰囲気を醸し出しつつも自由奔放で各地の文化圏を交流する自由人のように描かれているイメージが強い。
※そもそも「ジプシー」と呼ばれる人達の主なルーツが一つなのか複数民族の総称なのかということさえ学術的には明確にはなっていない。

しかし歴史が語る事実は、迫害と貧困そのものである。
早い時期から「同化政策」の対象となり、ナチス・ドイツ政権下においてはユダヤ人と同様に熾烈な迫害を受け、多くの同胞の生命が失われていった。戦後保障にあってはユダヤ人よりも不利な状況下に置かれ続けている。
その後もユーゴスラビア紛争、コソボ紛争などでもロマ人が迫害の対象となるなど、民族同化等の大義名分の下で行なわれた民族差別はソ連、スイスなどヨーロッパ全域に根強く残っているといわれている。

現在、ドイツやユーゴスラビアやハンガリーなど一部の国で少数民族として保護政策を受けているが、ロマ人居住地区の極貧生活は海外メディアではたびたび報じられており、その凄惨な状況は今も続いているのではないだろうか。

このあたりのことは日本ではほとんど認知されていない。日本人が「民族意識の薄い民族」といわれる一面かもしれない。
今回のロマ人送還報道のみでは詳細はわからないが、そもそもフランス国内に93人もの人数で不法滞在することになった経緯を推測すると、問題は根深いと思わざるを得ない。
戦後65年を迎えた日本。
私達に少しでも真の平和を志向する気持ちがあるのであれば、知らずに過ごしてきた世界の歴史に目を向けることが必要ではないかと痛感するのである。

【関連記事】
仏に不法滞在のロマ人93人、ルーマニアへ送還(読売新聞)
ロマ人(ウィキペディア)
日本人には疎い「民族問題」(JANJAN)

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