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2009年2月17日 (火)

第29回黎明塾 地域密着の事業戦略-日本経済と地域を取り巻く環境の変化-

2月14日(土)に今月の黎明塾を開催しました。
今回のテーマは「地域密着の事業戦略-日本経済と地域を取り巻く環境の変化-」。前回取り上げた雇用問題の延長としても重要な視点となる、地方における事業経営について考えました。

前回は雇用の一側面として、正規/非正規の格差と企業経営者の労働に対する意識の問題、製造業における延々と続いてきた偽装派遣と改正派遣法の深層を指摘し、経営者として社内スタッフとパートナーシップのいずれかで危機を乗り越える重要性について考えました。
雇用の問題は、雇用のことだけを考えていては解決できないことは自明の理です。
雇用を創出ということは、雇用を必要とする仕事を創出するということです。
ここでいう仕事とは、ものづくりであったりサービス提供であったりしますが、そうした仕事を創出するためには、その仕事を必要とする需要の存在が不可欠です。
そうした需要の創出こそが、今現在大きな政治課題となっている「消費の拡大」そのものであることは疑う余地はないでしょう。

雇用の創出とは事業経営の展開そのものであり、消費の喚起も突き詰めると求められる事業展開ということに直結します。
そうした視点を熟考せずして「雇用を確保せよ」「労働者の生活を保障せよ」「消費を拡大させろ」と叫ぶことに、大きな意味などほとんどありません。
現在の経済恐慌を本当に打破したいのならば、事業経営を全面的にバックアップするのが最良の道です。
政府が打てる手は大きくは2つの観点しかない。
ひとつは、新規事業や既存事業の拡大を側面的に支援する法的支援、中でもより強い意志を反映できて効果的と言われているのが税制面の法的整備。
もうひとつは、緊急時のカンフル剤的刺激政策。
歴史的にみても理論的に考えても、この2つの政策は王道というべき行政の役割です。恒久施策と応急施策ということでもある。

ならば私たち民力を発揮すべき立場の人間として、いま為すべきことは何か。
事業を創出、維持拡大することで大きな役割を果たす。
このことが求められている。

この30年ほどの間で日本の経済構造は劇的に変化してしまった。
その指摘を先進各国のデータで検証し、日本経済の格差を生んでいる、雇用形態以外の大きな要因である地域格差と第一次産業の衰退に着目し、その環境の変化を考察しました。また、地域産業への取組みが日本よりも先行している欧米各国の事例を学びました。

今回の考察にあたり、参加者への意識喚起として2つの提言を提示しました。
20090214_2 ひとつはロバート・B・ライシュ氏による『暴走する資本主義』、もうひとつは池田大作氏による第34回SGIの日記念提言『人道的競争へ 新たな潮流』です。
共に世界の有識者に注目された提言ですが、この二つには共通した主張が盛り込まれています。ライシュ氏は従来私達の社会は「市民」という側面と「消費者、投資家」という側面の2つがバランスをとってきたが、近年そのバランスが大きく崩れてしまったことを指摘します。この両者は民主主義と資本主義という言葉でも表現されていますが、現在の社会は資本主義の考え方が民主主義を席巻する「超資本主義」に侵され、回復の曙光が全く見えないという絶望感すら漂います。ライシュ氏はその象徴的事象として、企業の擬人化に注目。本来個々の人間の集まりに過ぎない企業が、あたかも人格をもっているかのような、現代人の認識に問題の本質が端的に集約されており、一例として法人税を全廃することを挙げて、個々の人間を基調とすることが問題の処方箋の根本であると主張します。

一方、池田大作氏の主張も同様の色彩を帯びています。
現在の世界が抱えている金融経済恐慌の背景には限りない効率追求と実態を欠く貨幣経済への根拠なき信奉があると指摘。これはかつてマルセルが指摘した「抽象化の精神」の罠に絡め取られた姿そのものであり個々人の短期的な利益と欲望に目が眩み、グローバル化した結果であると指摘。その解決の方途は「人道的競争」への転換と、抽象化ではなく具体性の代表ともいえる地域性に徹して一人一人の人間に光を当てた「内在的普遍」へのアプローチであると提唱しています。
さらにその具体的な方策として、環境問題を通した「行動の共有」、地球共有財に対する国際的な「責任の共有」、核廃絶への「平和の共有」という3つの共有への挑戦を掲げています。
池田大作氏のこの主張は20年以上前から一貫しており、その根源は万人の生命にはだれもが最高の生命状態を涌現する力があるという生命尊厳の仏法哲学に裏打ちされています。

両者に共通している最大のポイントは、行動の主体は企業や社会というような抽象化された団体組織等ではなく一人の人間であるという点です。
社会の変革といっても、経済恐慌の転換といっても、しょせんは一人の人間の行動からしか始まらない。そのかけがえのない一人の行動が二波、三波と広がり、千波、万波へと広がっていく。ここにしか変革の構図はないのだという両者の熱き思いに深く共鳴する人は多いのではないでしょうか。

市民であり消費者であり投資家である私達一人一人が真剣に考え行動することを訴えたライシュ氏、一人一人が身近な具体的な生活の場で改革することを提唱する池田大作氏の思いを具体的に実践するということはどうすることなのか。
仕事に携わる経済人という側面からのアプローチとして、地域密着の事業展開はひとつのチャレンジとも言えるのではないかと思います。
次回は具体的な事業事例を学びたいと思います。

【関連リンク】第29回黎明塾

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