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2007年7月25日 (水)

参議院議員選挙の争点「年金問題」

参議院議員選挙の投票当日まであと3日となった。
今回の選挙では何を基準に投票行動を決めたらいいのだろうか。
緊迫した日本を取り巻く情勢とは関係なく、マスメディアに扇動される形で終始、年金問題が取りざたされてきた。私個人としては年金制度事態は前回の衆議院選挙を経て一定の方向へ動き出していると見ているので、今回マスメディアが言うような年金問題は争点になりえないと思うが、誰に聞いてもこの話題が出るので少しだけ触れておこうと思う。

まずは各党がどのような対応をとっているのかマニフェストから見てみよう。
自民党:http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2007_seisaku/kouyaku/pdf/kouyaku_01.pdf
民主党:http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2007/pdf/manifesto_2007.pdf
公明党:http://www.komei.or.jp/election/sangiin07/policy/jutenseisaku2007.pdf
共産党:http://www.jcp.or.jp/down/bira/07/pdf/200707_seisaku.pdf
社民党:http://www5.sdp.or.jp/central/seisaku/manifesto07s.html
新党日本:http://www.love-nippon.com/manifesto.htm
国民新党:www.kokumin.or.jp(重たくて次が開けないのでトップページのアドレス)

全てにコメントすると冗長になるのでいくつかピックアップしたい。
国民の多くの関心は、政府与党である自民党と公明党の政策と、対抗軸と目されている民主党の政策がどのように違うかという点だろう。
政府与党の政策の重要項目は
(1)年金記録漏れ5000万件の年内調査
(2)ねんきん定期便の発行
(3)事後納付2年(現行)から5年に延長
(4)社会保険庁の解体(非公務員化)
(5)2009年度から国庫負担2分の1へ引上げ(2004年改革で対策が進行中)
(6)年金カードの導入(平成23年度)

一方、民主党案の重点項目は
(1)年金通帳の交付
(2)年金納付データの送付
(3)社会保険庁は国税庁と統合する(歳入省を創設する)
(4)年金制度を一元化する
(5)基礎年金(最低保障年金)として全額税で賄う

政府与党の政策は案ではなく実際に実施されている事項であるので、問題になるのは民主党案が政府与党の政策よりも優れているか劣っているかという判断だ。
民主党案を順に見てみよう。

(1)年金通帳の交付
明細を記録するという趣旨は理解できるが、ねんきん定期便を発行する政府与党の政策と違いはないし、年金カードシステム導入を発表している与党に比べて見劣りがする。

(2)年金納付データの送付
これも政府与党の「ねんきん定期便」とさほど変わりがない。

(3)社会保険庁は国税庁と統合する(歳入省を創設する)
これはよくない。
こんな組織変更をして何の意味があると思っているのだろうか。社会保険料と税金とは似て非なるものだ。社会保険庁の労務管理も今回の年金記録問題の大きな一因であることは明白な事実だ。政府与党の政策では公務員としての資格を消滅させることが大きな目的になっている。国家公務員としての特権を盾にしてサボタージュに近い労働条件を作りこんできた当然の報いであると私は感じている。
民主党案では、当然のこととして社会保険庁職員は公務員としての地位が保障される。どちらが抜本改革をする決意があるのか、明白だ。

(4)年金制度を一元化する
これは従来からの民主党の主張だ。
しかしその詳細はあいかわらず示されていない。大きなものだけでも国民年金、厚生年金、共済年金がある(その他に農林、海運関係などがある)。
そのどの年金制度を基準としてあわせていくのかさえ明示されない。国民年金にあわせれば現在の会社員の支給額は大幅ダウンとなり、厚生年金にあわせるとすれば企業が半額負担している保険料相当額を自営業者の場合は誰が負担するのか。このような根本的な課題くらいは解決案を提示すべきだ。
絵に書いた餅と言われても致し方ない。

(5)基礎年金(最低保障年金)として全額税で賄う
これは複数の視点から矛盾が指摘されている。
まず基礎年金の支給額が明示されていない。前回(衆院選)マニフェストでは月7万円としたが、今回マニフェストでは金額が記載されていない。なぜだろうか。理解に苦しむ。支給水準が示されないと試算自体ができない。
次に、財源には矛盾が露呈している。根拠が曖昧で頻繁に説明が変わっている。
前回マニフェストで民主党は新たに年金目的消費税(+3%)で財源を確保するとしたが、今回はムダをなくし、現行の消費税(5%)全てを年金財源にすることで捻出できるとして年金目的消費税案を撤回。
しかし政府与党から「消費税全部を年金財源にはできない(地方納付分が1%、国庫分から地方交付に充てる金額があるなど)」「民主党が言う年金に必要な金額が7~8兆円少ない」などの指摘がされると「国民全員が対象」としていた制度案をあっさり変更して「年収1200万円以上の人には支給しない」所得制限を設けると発言。
さらに与党から「1200万円以下にしても全国民の3分の1以上がもらえない計算になる」と指摘されると「年収600万円前後から支給制限を設ける」と新たに発言。まさに泥縄状態だ。
さらに与党から「民主党案の財源であれば年収200万円から支給制限しないと整合性がとれない」と指摘されている。加えて小沢氏は「現在の未納者、未加入者には払わない」という。これでは現行制度と何が違うのか。保険料支払いが税金徴収になるだけで、最低保障と呼べないのではないか。
さらに「従来保険料を払ってきた人との整合性はどうするのか」と指摘された小沢氏は仰天発言をした。現在の制度から基礎年金制度へは40年近くかけて移行するということだ。ではこれから40年間はどうするというのか。
民主党のマニフェストだけを読んでいたら数年後には基礎年金制度が始まるのかと思う有権者も少なくないはずだ。それが自分が生きている間には実現されないかもしれない年齢の人も多い40年後の話...。これでは、小沢民主党は、古い体質の旧態依然とした自民党政治よりも、たちが悪い。民主党が政権をとったら、自民党よりももっと悪くなるんじゃないか、と感じる。

政策を問われると、民主党はほとんど逃げ腰になっている。
マニフェストから民主党の年金案をみてきたが、これでは民主党に政権を任すと誰が言えるだろうか。

その点はさすがにマスメディアも厳しく言わざるをえないのだろう。
「小沢代表は「制度を根本から変えれば大幅な歳出削減が可能」と強調するが、補助金は大半が社会保障や義務教育関連だ。簡単に切るわけにはいくまい」(読売新聞)

「小沢代表率いる民主党の公約も「ハイそうですか」とは言いがたい」(朝日新聞)

「過去の納付の実績が考慮されないとかえって不公平が生じる。民主案にその対応策が用意されているのか、これまでの説明ではわからない」(毎日新聞)

「最低保証年金をいくらにするか、という点について、今回民主党は口を閉ざした。前回衆院選では「7万円」と明確に打ち出していたにもかかわらず、である」(産経新聞)

さてあとは有権者である私達が賢明な行動ができるか、である。

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