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2007年7月12日 (木)

参議院選挙が公示

参議院議員選挙が7月29日(日)の投開票日に向けて公示された。
参議院は任期6年。3年をずらして定数の半分ずつを改選する制度だ。
今回の改選議席数は121。
有権者は何を基準に投票行動を決するべきなのだろうか。

毎日新聞社説:参院選公示 針路を決めるのは有権者だ
読売新聞社説:党首討論会 やっと年金制度論に踏み込んだ
朝日新聞社説:参院選公示―「安倍政治」への審判だ

各紙それぞれ書いているだろうが、いずれも表面的な事象、結果に終始しているようにしか、私には思えない。
毎日新聞は社説タイトルは勇ましいが、内容は年金記録漏れ問題と憲法論議について触れているのみ。冒頭に「年金問題や政治とカネ、憲法改正、消費税率の引き上げ、教育改革、格差問題、地方分権」と浮上している問題を列挙して主な論点が出揃ったという書いているあたりは、思想のなさの現われだろう。
読売新聞は年金制度が今回の論点だと思っているのだろうか。記録漏れ問題を一蹴しているあたりは毎日よりもまだましかという程度だ。
朝日新聞に至っては「年金不信、閣僚スキャンダル、失言問題」を「逆風3点セット」と呼び、安倍政権の審判だと庶民感覚からはおやじギャグのような肌寒さすら感じる始末だ。

年金問題と言いつつ、記録漏れ問題にばかり目が囚われているのが実態だ。民主党が出している年金制度案は前回の衆議院選挙で、すでにその欠陥を指摘されているものであって、財源が確保されていないことをはじめ制度上の矛盾点が指摘されているものである。衆議院選挙以降に現状の年金制度についての新たな問題点が浮上しているのならともかく、負担増に対する不満のみで現在のような世論になっているのだとしたら、国民の身勝手だといえまいか。
憲法論議は賛否が分かれる諸問題まで検討が進んでいるとは言えない。民主党においては党内に改憲派と護憲派の180度異なる主張のグループが対立しており、党としての見解表明を結党以来先延ばししている。いずれにしろ今回の選挙の論点にはできないだろう。
事務所費問題や諸閣僚の問題発言は、本質的な問題ではもちろんない。与野党を問わず、全ての政治家が社会的問題を起こしているのが現実なのだ。「安倍政権の審判」などというマスメディアは、事実認識がいいかげんでいかにも思想がない。
消費税問題については税制度全体の中で見直していくべき問題だ。プライマリーバランスの視点も重要であるし、それよりもまず日本という国が大きな国家保証を目指すのか、小さな政府を目指すかの議論と国民的合意がなければ、5%がいいとか8%にすべきだとか目先の数字を云々する問題ではない。

ざっと俯瞰するだけも、今回の選挙においてのメディア報道は投票行動を決すべき論点を何も指摘していないし、各政党もその点を世論に訴えることができていない。
これは政党側の問題も大きい。
ひとつは第二勢力と思われている民主党が、第2軸になりえていないことに大きく起因している。日本の政治の舵をとってきた自民党への不信感が限界に達しているのは間違いのない庶民の実感だろう。しかし政権を担う能力と政治理念が民主党にあるかどうかだ。

ここで私たちは冷静に考えなければならない。
現在の絶望しそうなほどの政治の閉塞感は、自民党のせいで起きたことかどうかという点だ。今は選挙直前に、社会保険庁を解体しようとする政府与党案を阻止しようとした、野党の支持勢力が仕掛けたと思われる年金記録漏れ問題の表面化で、国民が冷静な判断能力を失った一種の興奮状態が続いている。そこに根絶することのない不透明な政治資金問題が突発地震のように火を噴き出す。世論は「政府、与党憎し」で制御不能になりつつある。
しかし、制御不能となっていた社会保険庁の実態を把握していたがゆえに、政府与党は社会保険庁改革法案を提出したのであり、不祥事が続いているのは、むしろ民主党であることを有権者なら少し前まではよく覚えていたはずだ。
つまり、いま政府与党攻撃の材料となっている出来事のすべては、自民党、民主党を問わず現在の国会議員全体に病根があるのだ。その点を突き詰めることなくして、自民党がいいとか民主党がいいとか言っていても根本的解決にはならない。

あえていえば、もし仮に野党勢力が過半数をとって民主党を軸にした政府与党が誕生しても、不祥事はなくならないだろう。政策も大きな変更もないはずだ。そのことは民主党議員が一番よく知っている。経験がない分だけ、権力の甘い誘惑に負けて明治政府のときのような私利私欲が横行する危険が増すだけである。その兆候はすでに現れている。

しかしこのまま自民党に今の政治を続けていかせるわけには、もちろんいかない。
私たち有権者は、非常に困難な、しかし限りなく重要な政治判断を迫られている。
今回の参議院選挙は、末期的症状を呈し始めた日本の政治に残された選択肢を、予断なく、賢明に選び取っていくことが求められていると私は思うのだが、皆さんはどのように感じるだろうか。

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