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2007年3月 7日 (水)

本当に勝手気ままな親が起こした事件だったのか

昨日の読売新聞にある事件の背景が掲載されていた。
昨年2006年12月30日に埼玉県和光市に起きたアパート火災で、出火した部屋に一人残されていた2歳の男子が焼死した事件だ。
〔事件後の報道など↓〕
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070219k0000e040021000c.html
事件直後や書類送検が報じられた際には、マスメディアやWebでは若い母親への非難が集中していた。
報道を目にして私もやりきれない思いがこみ上げてきた。しかし、何か別の事情がある可能性もありうると感じてコメントをしなかった。一つには私にも2歳半になる子供がいるので「一人でも大丈夫だと思った」という感覚が腑に落ちなかったためでもある。ただ遊びたいだけの自覚のない若い母親が起こした事件とは、短絡的に思えなかった。

2歳の子供を一人にしてスノボ-に行けた精神構造が生まれたのには、やはり背景があった。
Webで検索したがこの記事が見つけられなかったので、3月6日付読売新聞朝刊19面からその概要を紹介する。

・この一家は2年前にアパートに入居(男子の年齢から類推すると出産直後か)。
・事件の1年程前に父親は別居、母子2人暮らしになる。
・20歳で妊娠し親の反対を押し切って結婚していたこの母親は自力で育てることを決意。
・時給の高い深夜の調理の仕事に就いていた。
・夕食と風呂の後、子供を寝かせつけて22時に出勤し翌4時過ぎに帰宅する生活。
・子供と朝食を食べ、昼間は子供と一緒に過ごす毎日を送っていた。
・男子は乳幼児健診や予防接種は欠かさず発育も順調だった。
・保育所申請や行政への相談もなかったため自立可能な家庭と見られていた。
・公的な支援を受けたことはなかった。
・警察の調べでは近隣には深夜や年末時期に手頃な金額で子供を一時預り施設はなかった。
・育児と仕事に明け暮れる中、一日くらい骨休みしたいと思って行ったスノボーだった。

この家庭においては、夜間とはいえ1~2歳の子供が一人でいる時間帯が日常的に発生していた。私たちが考えているよりも低いボーダーが日常に蔓延し、次第に危険が迫っていたのだ。スノボ-には午前5時に出発し出火直後の22時過ぎに帰宅している。直前まで仕事をしていたとも考えられる時間帯だ。スノボーの後に、そのまま仕事に行くつもりだったのかもしれない。本質的ではないが、あと10分、15分早く帰宅してくれていれば男の子は死なないで済んだのかもしれないとも思ってしまう。

この事故は避けることができなかったのか。
もちろんその母親が事件を引き起こし、我が子を焼死させてしまった事実が覆るわけではない。それでも、親子2人の母子家庭で、1~2歳の男子を抱えて、公的支援を受けることなく、親族や地域にも支援されずに、事故なく、自分が働いて養っていこうとしている20歳前半の若い母親が、まともに生きていけると思うほうが無理があるのではないだろうか。

たしかに親族にも事情があるだろう。
地域の住民としても入り込めるまでに親しくなれなかったのだろうとも思う。
しかし、もう少しだけ親身になれる近隣の友人、親族者がいなかったのだろうか。
現代を生きる私たち一人一人は、この事件を自身の教訓にしなければならない。
この母親と男の子のためにも。

《続報》
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070328-00000099-mailo-l11

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